歴史を繋ぐ、一期一会の出逢い――薩摩の名刀「波平」の大小一腰を迎え入れて
当社は日本刀の歴史にその名を刻む、極めて貴重な「大小一腰(だいしょうひとこし)」を新たに迎え入れることとなりました。
美術品としての美しさはもちろんのこと、激動の時代を生き抜いてきた圧倒的な存在感を放つ一振りを、皆様にご紹介いたします。

■ 1000年の歴史を誇る名門「波平(なみのひら)」
今回、当社がご縁をいただいたのは、江戸時代後期(1804年)に薩摩国(現在の鹿児島県)で作られた、刀と脇差のセットです。
刀身に刻まれた銘(サイン)は「薩州波平安行 享和四年子二月日」。
「波平(なみのひら)」とは、平安時代から幕末まで、日本刀の歴史上最も長く連綿と続いた薩摩の名門流派。その名は「波は平らかに、行くは安し」という航海安全や人生の平穏を願う言葉に由来し、古くから武士たちの間で「非常に縁起が良い名刀」として尊ばれてきました。
作者の安行(やすゆき)は、その名門・波平の「第60代」を継いだ最高峰の巨匠。本作が打たれた1804年は、わずか数ヶ月後に「文化」へと改元されるため、「享和四年」と刻まれた刀は歴史的にも非常に希少です。
■ 奇跡的に揃って現代に残された「共の大小」
現在、全国の市場に出回っている日本刀はわずか3,000振り程度とも言われており、希少価値の高さから「美術品投資」としても国内外から熱い視線が注がれています。
本来、日本刀は長い歴史の荒波の中で大刀と小刀が離れ離れになってしまうことがほとんどです。しかし、この度私どもが特別に買い付けいたしました刀(二尺三寸四分:約70.9cm)と脇差(一尺七寸七分:約53.6cm)は、同じ刀工が同じ時期にセットとして仕立て、一度も離れることなく伝来した大変貴重な「共(とも)の大小」です。
薩摩刀らしい、黒みがかった力強い地鉄(じがね)と、キラキラと輝く激しい刃文。それはまさに、幕末という激動の足音が聞こえ始めた時代に、薩摩武士が魂として腰に差していたであろう、実戦的かつ風格に満ちた姿そのものです。

■ 未来へ、文化を繋ぐということ
220年以上の時を超え、当時の姿のまま現代に語りかけてくる名刀。これほど格調高く、またストーリーに満ちた美術品を当社でお預かりできることは、言葉にできないほどの誇りであり、深い使命感を感じております。
当社はこれからも、こうした本物の文化や歴史の価値を大切に守り、未来へと繋ぐ架け橋であり続けたいと考えております。
この名刀が放つ唯一無二の輝きと張り詰めた空気感を、ぜひ皆様にも感じていただければ幸いです。
【刀剣詳細】
- 大刀: 刀 銘「薩州波平安行 享和四年子二月日」(長さ:約70.9cm)
- 小刀: 脇差 銘「薩州波平安行 享和四年子二月日」(長さ:約53.6cm)